東京地方裁判所 昭和50年(特わ)2674号 判決 1976年4月07日
(被告人)
(一)本店所在地
東京都江東区大島一丁目八番二一号
飯島鋼管株式会社
(右代表者代表取締役飯嶋久夫)
(二)本籍
東京都江東区大島一丁目三五三番地
住居
同都同区大島一丁目八番二一号
職業
会社役員
飯嶋久夫
昭和八年一〇月二三日生
(公判出席検察官)
検事
清水勇男
主文
被告会社飯島鋼管株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、
被告人飯嶋久夫を懲役六月に、
それぞれ処する。
ただし、被告人飯嶋久夫に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、東京都江東区大島一丁目八番二一号に本店を置き各種鋼管鋼材の販売を営業目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人飯嶋久夫は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人飯嶋久夫は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上し期末たな卸を圧縮するとともに商品取引益を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一四四、九六八、〇三三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同四八年五月三一日、同都同区亀戸二丁目一七番八号所在の所轄江東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一、三二五、〇八四円で、これに対する法人税額が七、一三七、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の方法により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五二、五六九、七〇〇円(別紙(二)法人税額計算書参照)と右申告税額との差額四五、四三二、〇〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
全般にわたり
一、被告人の当公判廷における供述
一、同じく検察官に対する供述調書
一、同じく収税官吏に対する各質問てん末書
一、被告会社の会社登記簿謄本
科目別の増減金額につき(標目末尾の○印内数字は検察官請求の証拠目録番号を示しかつこ内は科目を表わす)
一、浅倉富一の収税官吏に対する質問てん末書<11>(売上、雑収入)
一、飯嶋久夫作成の昭和五〇年七月三一日付浅倉機工に対する架空売上についてと題する上申書<22>(〃、〃)
一、飯嶋久夫、日暮絹子作成の昭和五〇年五月三〇日付各期末たな卸商品についてと題する上申書<23>(期首、期末たな卸)
一、田原岑夫の収税官吏に対する質問てん末書<6>(仕入)
一、飯嶋久夫作成の昭和五〇年七月三一日付共和精機からの架空仕入についてと題する上申書<24>( 〃 )
一、日暮絹子の検察官に対する供述調書<4>(役員報酬)
一、収税官吏高林啓作成の昭和五〇年八月五日付代表者勘定調査書<29>( 〃 )
一、中村幸翁の昭和五〇年八月六日付上申書<32>(給料賞与)
一、日暮絹子の昭和五〇年七月三一日付上申書<33>( 〃 )
一、飯嶋久夫の昭和五〇年七月三〇日付交際費についてと題する上申書<35>(交際費)
一、大蔵事務官大崎裕三作成の昭和五〇年九月一九日付証明書<36>( 〃 )
一、飯嶋久夫作成の昭和五〇年七月三〇日付雑費についてと題する上申書<37>(雑費)
一、前記<36>の証明書( 〃 )
一、収税官吏高林啓作成の昭和五〇年六月一二日付預金調査書<38>(受取利息)
一、前記<29>の調査書( 〃 )
一、収税官吏高林啓作成の昭和五〇年八月三〇日付受取手形調査書<39>( 〃 )
一、前記<29>の調査書( 〃 )
一、飯嶋久夫作成の昭和五〇年七月三一日付商品取引についてと題する上申書<40>(商品取引益)
一、同じく昭和五〇年七月三一日付株式取引についてと題する上申書<41>(株式取引益)
一、同じく昭和五〇年七月三〇日付支払利息についてと題する上申書<42>(支払利息割引料)
一、江東税務署長森角袈裟男の昭和五〇年九月一三日付証明書<46>(価格変動準備金)
一、押収にかかる昭和五一年押四八九号の符一の法人税確定申告書( 〃 )
一、飯嶋久夫作成の昭和五〇年七月三〇日付雑損失についてと題する上申書<47>(雑損失)
一、収税官吏高林啓作成の法人税額計算書<49>(未納事業税)
一、押収にかかる昭和五一年押四八九号の符六の決算書、申告書等綴一綴( 〃 )
公表金額および過少申告につき
一、法人税確定申告書(昭和五一年押四八九号の符一)
(法令の適用)
被告会社につき
法人税法一五九条、一六四条一項。
被告人につき
法人税法一五九条(懲役刑を選択)、刑法二五条一項。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 中村勲)
別紙(一)
修正損益計算書
自 昭和47年4月1日
至 昭和48年3月31日
飯島鋼管株式会社
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(二)
法人税額計算書
自 昭和47年4月1日
至 昭和48年3月31日
飯島鋼管株式会社
<省略>